2022年08月01日
プリント技法
「Tシャツにオリジナルプリントを作成して2週間6回の使用でプリントにひび割れが起こった」というお声をいただく機会がありあました。
そのプリントは他店のものでしたが、当店でも同じような問題が起こる可能性があるため、家庭で起こる原因と対策についてご案内します。
前提として、プリントそのものに問題はなく、お客様使用時に劣化(ひび割れ)が起きてしまう原因とその対策についてです。
【原因】 濡れた状態で強く引っ張ると割れる
加工方法に限らず、インクは水に濡らすと多少なりとも水分を吸収し、柔らかくなります。
柔らかいとはいえ、インクそのものがプリント前の液化するわけではありません。
その状態でTシャツ生地を引っ張ると、インクの樹脂はそれについて行こうと伸びます。
ですが、伸縮限度を超えると生地についていけずに、割れてしまいます。
これがそもそもの原因で、さらにインクは洗濯と乾燥を繰り返す度に柔軟性を徐々に失いますので、ひび割れしやすくなります。
インクには色々ありますので限度はその組成によって変わります。
当店のプリント方法で比較すると 転写>シルク>インクジェットの順番で、転写が一番伸縮性た高く耐久性がありました。
転写の下地には特別にボンドの層があるのでその恩恵があるようです。 次にシルクスクリーンですが、シルクスクリーンが一番インクそのものの膜圧を厚くできます。樹脂を厚くできる分強度が上がります。
※ただし、厚くするだけ表面が固くなりますので着心地が悪くなります
インクジェットは機械のノズルから噴射するという特性上、多くのインクを吹きつけ膜を厚くする事ができませんので不利になります。
【対策】 裏返してネットに入れて洗濯
ひび割れが起きてしまう最大の要因は、洗濯時の洗濯槽の中で衣類が引っ張られているためです。
特にバスタオルなどの大きな洗濯物に巻き込まれてしまうと大変危険です。
プリントを保護する意味でも服を裏返し、できれば個別で洗濯ネットに入れて洗濯することで、
生地の伸びが起きないようにすることが最適な対策です。
洗濯表記には洗濯ネットの指定はありません。(過去にはありましたが)
ですが、洗濯は衣類を裏返して洗濯ネットを使用いただくようにお願いします。
もう一つの対策として、生地の伸縮性が低ければ、インクもそれに対応する必要もありませんので
プリントの耐久も上がるといえます。
厚手の綿(天竺)のTシャツやトレーナーなどで、ひび割れたということは聞いたことがありません。
※古着など数年も経過し、紫外線の影響で劣化する場合を除く
厚手のTシャツそのものも長持ちしますので、これも使用する用途(期間や回数)で選んでいただければよろしいかと思います。
【当店のシルクスクリーンインクについて】
当店では色々な種類のインクを試し、それらを長期に渡って洗濯や紫外線テストを行ない、最良のインクを選定しました。
水性ラバーの中でも特に伸縮性の高いストレッチバインダーを使用しています。
※バインダーとは水性インクの主な成分(樹脂)でプリントの仕上がりの大半を決めるベースです
材料価格は一般的な水性ラバーインクに比べて1.5倍近く高いですが、お客様に長くオリジナルプリントTシャツ使用していただけるように高品質な水性ストレッチラバーインクを使用しています。
水着にも使用できるインクですので、ストレッチ性では最高の種類です。絶対にひび割れしないと保証するものではございませんが、これに変えてから「ひび割れした」というお声をいただいたことはございません。
無償プリントサンプルもご用意しておりますので、お気軽にお問合せください。